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「ちかばめぐり」を持って、和歌山市内を散歩してきました。其ノ五「和歌山市和佐地区」

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M この企画もいよいよ最終回、和佐地区をめぐってきました。近隣には「紀伊風土記の丘」があるエリアです。最後に訪れたのは、和歌山市岩橋にある「高橋神社」です。

髙崎 参道から奥に進むと3つの神社が祀られています。本殿である高橋神社の右側には豊玉神社、左には八幡神社が建っています。

境内の左側には菅原道真が御祭神の「天神社」、右側には「水分神社」「八衢神社」「八王子神社」が並んでいます。

高橋神社についてもっと詳しく知りたい方は、文献などで調べてみてください。でも実際に訪れて、この空間の凛とした雰囲気を感じてください。宮司さんから興味深いお話をうかがえましたので、下にまとめます。

※諸説あります。また多少平易にまとめた部分もありますので、ご了承ください。

高橋神社には「笛不吹(ふえふかず)神社」という別称があり、「境内で笛を吹いてはいけない」という謂れがあります。

なぜそう伝えられているのかは不明なのですが、この村にはかつて高橋氏と笛吹氏がいました。高橋姓は現在も残っている一方で、笛吹姓の方はいません。もしかしたら昔、村内で何らかの争いが起こり、笛吹姓が敗北し村から追い出されたということがあったのかも。笛吹姓は祭祀の際に笛を吹く士族だったので、争いの後、笛を吹くことが禁止されたのかもしれません。あらゆる説があるので、本当のことはわかりません。

ただ、神社の内神に龍笛が奉納されています。一般的に神社には、雅楽を奏でて神様に喜んでもらうという重要な役割があります。高橋神社は笛不吹神社と呼ばれていますが、笛を奉納し大切にしているという神社でもあります。

私自身、笛はたしなんでいますが、災いが起こると恐ろしいので吹いていません。全国に笛吹神社はありますが、笛不吹神社はかなり珍しいと思います。笛を禁じている神社もないと思いますよ。

M 和歌山市岩橋を「いわせ」と読むのはなぜか? という個人的にずっと疑問に思っていたことにも言及されていました。

髙崎 私も詳しくは知らなかったお話だったので、興味深く拝聴しました。でもあくまで想像上のお話だとおっしゃっていました。

※諸説あります。また多少平易にまとめた部分もありますので、ご了承ください。

かつて高橋神社は湯橋家という神主家が守っていました。湯橋という地名は、昔からこの村で湧出していた湯が流れる川に橋が架かっていたことから名付けられました。そこから今の岩橋(いわせ)になったそうです。岩という字は、石清水八幡宮の「いし」にちなんで取って変わったのでは? という説もあります。花山温泉もそうですが、昔からこの村は湯が出ていたそうです。

 

室町時代、和佐地区の八幡神社には石清水八幡宮から神主が派遣され、石清水の所領になり、八幡宮と高橋神社が大きく祀られるようになりました。その後、明治時代になって神社合祀令が発布され、ここで一緒に祀られるようになりました。過去をさかのぼると変遷はありますが、財力的にも石清水八幡宮の所領となった八幡神社がこの村では力があったようです。

 

もし高橋神社の湯橋が強ければ、そのままこの村の名前も湯橋村になっていたかもしれません。でもそれが岩橋に変わっている。これも1つの説です。地域に住む人に聞いても、岩橋を「いわせ」と読む明確な根拠を知っている人はいません。あくまで想像上の話ですが、これは石清水八幡宮と高橋神社の関係性だと思っています。

髙崎 高橋神社は昔でいう町の中心地で特別古い町。今の公園がある所は、昔は相撲場があったそうです。あと、これも教えていただいたのですが、ご神木の近くには貝殻が埋まっていて、昔貝塚だった場所というのがわかるのも面白かったです。本当に少し土を掘ると貝殻が埋まっていました。

M 正月にはお子さん連れのお参りが多く、若い世代の家族の皆さんも見受けられるそうですね。

髙崎 ここがコミュニティの場だったのかもしれません。それが今の世にも受け継がれているのかもしれません。今は10月には地元の園児たちによる「みこしかつぎ」が行われるなど、地元の方とつながりが深いのだなぁと感じました。宮司さんは今後について、このようにお話されていました。

コロナ禍の状況にもよりますが、これからは、子どもたちが集まれる催しを少し増やしたいです。地域の皆さん、お年寄りも気軽に集まれるコミュニティの場として、高橋神社がそういった場であるようにしていきたいです。

髙崎 Mさん、4つのエリアのちかばめぐりに同行していただきましたが、いかがでしたか?

M 今回のように、一般の方が詳しくお話をうかがえるかどうかは未知数な部分がありますが「目的地を設定し、あとはとにかく歩いて人がいれば話を聞く!」という、シンプルですが、そこが大切かと思いました。

髙崎 そうですね。目的地というと大げさに聞こえるかもしれませんが、単純に「気になる場所」に行ってみればいいと思います。普段、通勤通学で気になっていたところとか。

そしてできる限り、そこには「歩いて」いくこと。自動車で通るのと、歩くのでは、同じ場所でも感じる情報量が全く違います。歩いて初めて感じられることがたくさんあるので、ぜひ歩いて「ちかばめぐり」をしてもらいたいです。

最後に「近くの方にお話を聞いてみる」こと。なかなか聞きにくいかもしれませんが、思い切って話しかけてみると、親切に教えていただけることが多いです。また、本やネットにはない、本当に地元の人しか知らないような濃いお話がたくさん聞けます。今回のちかばめぐりシリーズではその連続でした。

「ちかばめぐり」に興味のある方は、まずはお家の近くの、ちょっと気になるところへ散歩をしてみてはいかがでしょうか。

(おわり)