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最終回「僧侶になっても、お還りなさい」 森嶋淳哉さん/浄土真宗本願寺派 善称寺 僧侶

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実はミュージシャン志望だった!

森嶋さんのもう1つの顔、音楽イベンターとしての仕事は僧侶になっても続けている。学生の頃、ENPITU GAIJINというバンドのベーシストとして活動。将来はプロをめざしていた。卒業後に働いていたライブハウスで、レベルの高い他のミュージシャンたちの演奏を目の当たりにして、「これは厳しい世界だ!」と気づいてしまう。

照明や音響のアシスタントをやるうちに「裏方の方が向いている」と思い、本格的にシフトチェンジ。地元へ帰ってきたタイミングで「和歌山にも質の高い音楽を紹介したい」と思い自主企画『お還りなさい』をスタートした。

2010年1月23日「お還りなさい 其の壱@rubluck cafe」

 



「覚えやすい屋号が良いと思い、大阪から和歌山へ帰ってきた自分に対しての『お帰りなさい』という言葉。インパクトをつけるため漢字を変えました。余談ですが、仏教には『往相(おうそう)』『還相(げんそう)』という言葉があって、その中で、還相は「故人が浄土に往生して仏になった後、現世に帰ってきて私達を見守り、浄土へ導く」という意味があります。いよいよ屋号が意味深になってきました」と笑う。

2010年1月23日「お還りなさい 其の壱@rubluck cafe」

企画する音楽のジャンルは弾き語り、ロック、インド音楽、タイ音楽、前衛音楽、電子音楽などさまざま。これまで青葉市子、トクマルシューゴ、 灰野敬二、マヒトゥ・ザ・ピーポー、ヨシダダイキチら多くのミュージシャンが森嶋さんの企画に出演。

当時「和歌山タウン情報アガサス」が開催した25周年記念イベント「ミチシオ祭」の際には七尾旅人、U-zhaanも出演した。ちなみに自身が尊敬するロックミュージシャン・灰野敬二の関西エリアツアーマネージャーも務めている

「今も『お還りなさい』として活動しています。ライフワークとして、この先もずっと続けていくつもりです。初期は『お還りなさい』というイベント名でしたが、今は『お還りなさいpresents〇〇〇』など、企画者名・屋号としての意味合いが強くなってきました」。

 

僧侶×音楽で仏教の良さを伝える

森嶋さんはこれまでのキャリアを活かし、ライブやカフェイベントなどお寺とはあまり結び付かないような企画を善称寺でも次々と開催予定。仏教に縁のない人に興味を持ってもらうためだ。

「イベントを楽しんでもらって、その中で仏教のお話しをさせていただこうと思っています。それが人にとって生きるヒントになれば、本来の仏教を伝えていく部分と重なります」。

今年4月の花まつりには音楽イベントを開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し中止。現在はイベント開催を自粛している。

「住職からはどんどん企画してほしいと要望がありますし、朝のお勤め配信もこれまでのノウハウが活かされている。自分が取り組んできたことは繋がっています」。

最近、森嶋さんのように「もう1つの顔」を全面に出して活動するお坊さんが増えてきた。SNSを積極的に活用し、メディアの露出も頻繁。一昔前からは想像できない状況に、仏教業界の中で危機感が高いためと森嶋さんは話す。

「仏教を伝えるのが僧侶本来の仕事ですが、お葬式の時しか出番がない。普段は入りにくいでしょ、お寺って。これは何とかせなあかん状況だと危機感を持っているお坊さんは多い。住職もそう思っています。今、若い世代の住職たちが、現代にあった伝え方をいろいろやっていくべきと考えている。若い子向けの企画をしているお寺は多いです」。

かくいう森嶋さんも大ファンであるラルク・アン・シエルのイベント「ラルクナイト」の開催により「ラルク好きのお坊さん」として知られつつある。

2020年1月25日 「ラルクナイト和歌山 vol.14  2nd W’Anniversary(2周年)」

 

「法事のご縁をいただいた方から『私、ラルクめちゃ好きです!』というお声をいただきました。SNSを見て知ってくれたようで、そういう繋がりができて、面白いなと思いました。これからもイベント時にはお坊さんキャラをフルに活用したい」と笑う。

「いろいろ苦労があった33歳の年にこの世界に導かれたのはご縁だと思った。これからも一生懸命勉強して、仏教の素晴らしさを伝えていきます」と決意を新たにする。

自分だけの伝え方を武器に、森嶋さんは僧侶としての道を歩み始めたばかりだ。

(おわり)

●善称寺ホームページ
https://zensho-ji.com/

●お還りなさい
●ラルクナイト