日本全国の街角をエッセイでつなぐ、この企画。3つのレーンで次々とバトン(テーマ)を変えて、次のエリアへとリレーしていきます。第7回は、長崎、京都、和歌山が参加します。
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和歌山のスキマ的な読み物や情報を発信しているサイト『もっと和歌山』を運営する編集・出版事務所M to W(エムとダブリュ)の松本です。
広島・Winkの沖本さんから受け取ったバトンは「私の偏愛○○」。ドハマりしているモノやコトを教えて、ですが。沖本さんのように、地域に根差した広島カープへの熱愛なら街角エッセイとして成立しますが(とても面白かった!)、私の内なる嗜好を披露したとて、和歌山にまつわるものでもないし、誰も得しないではないか。
とはいえ話したくなったので、野球つながりの偏愛をひとつ。
私、故・野村克也監督就任前の暗黒時代からのヤクルトスワローズファンでして。当時アイドル的な人気を誇っていた「ブンブン丸」こと池山隆寛選手(来年より一軍監督!)の全身バネのようなキレッキレの守備や、豪快なホームランに魅せられたのが、ヤクルトを好きになったきっかけ。


数年前の京セラドーム大阪にて。私が観戦した際の勝率の悪さよ…
ちなみに若い頃の私は、現役当時の石井一久投手に顔や雰囲気が似ていると、半径500mをざわつかせていました(諸々調子にのりましてすみません)。
20数年前受けた「○西ウォ○カー」の面接官から突然「キミ、ヤクルトの石井に似ているよね」とぶっこまれた時、投球フォームのモノマネを披露して採用を勝ち得たという実績は今や自己紹介の際の枕です(入社しなかったけど)。
でもその直後にエントリーした某マガジン社発行の「ミー○リー○ョナル」は落ちました。(竹村さん、御社での面接、めっちゃ緊張したよ…)
さて肩も温まってきたところで、本題。
ハンバーグが大好きだ。
和歌山にも熊野牛や紀州和華牛といった地元ブランド牛を使った贅沢なハンバーグはあるし、とてもおいしいのだけど、個人的には牛肉と豚肉の合い挽きで作るノーマルのハンバーグが好みだ。
昔、実家がレストランのような喫茶店のようなファジーな店を経営していて、おそらくオーナー兼料理人だった父がこさえたハンバーグの味は今も覚えている。
賄い的にお昼か夜のごはんとして、たまに出されるそれは、大人の手のひらサイズくらいの、よく焼けた平べったい小判型で、デルモンテのケチャップがプリっとかかっていた。傍らに赤ウインナーが2つ鎮座していたのも、幼い松本くんの心をつかんで離さなかった。
しかし店は私が小学生の頃に閉店し、いろいろあってレシピはわからない。
大人になりタウン情報誌の編集者という職に就き、飲食店に接する機会が増えた。偵察という大義名分を引っ提げて舌の記憶を頼りに、喫茶店や洋食屋への初来店時には必ずハンバーグをオーダーしてきた。しかし意外なほど似た味とは出会わなかった。
ところが編集者生活3年目に差し掛かる頃、ついに運命の出会いを果たす。和歌山県印南町にある『海岸通り』というハンバーグ専門店。創業してからおそらく40年くらい。窓から太平洋が一望できる景色も自慢のアットホームなお店だ。
今でいう映えもないし、極上の素材を使っているわけではないけれど、私はここのハンバーグがナンバーワンだ。

肝心のハンバーグが見えてなくてすみません。でもうまい!
初めて口に放り込んだ瞬間、肉の旨味がじゅわっと溢れ、脳の片隅に保存していたハンバーグの記憶が一気によみがえった。
それから何度か食べに行き、取材にもうかがった。過去の記事を読み返すと、ご主人が「おいしさの秘密? う~ん、ひとことでは言い表せないなぁ」などと書いてある。わかる、わかるけど、取材も原稿も下手くそか、私。

恥ずかしながら当時の紹介記事

店からの景色ではないけど、印南の海です
もうすぐ創業40年くらいになるのだろうか。久々にあのハンバーグに会いたくなったよ。
次回は京都・ハンケイ500mさんにバトンを渡します。
「見ておくべき、京都の建築」を教えてください!
街角リレーエッセイ 参加メディア
京都 ハンケイ500m
https://hankei500.com/
大阪 SAVVY
https://savvy.jp/
長崎 ながさきプレス
https://www.nagasaki-press.com/
広島 Wink
https://wink-jaken.com/
福井 ふーぽ
https://fupo.jp/
和歌山 もっと和歌山
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