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和田山真央展「陶と本の庭」開催中/和歌山市民図書館

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和歌山市加太在住の陶芸家・和田山真央さんによる展覧会『和田山真央展「陶と本の庭」』が和歌山市民図書館1階・2階で開催中。

和田山さんの作品を美術家・ディレクターの斉さんがディレクションし、同図書館12階のフロア各所に配置。陶芸作品と本、美術と読書などの特性が織り成す空間です。

 

通常、和歌山市民図書館の展示スペースは2階入り口付近が多いですが、和田山さんからの提案もあり、今回は12階のフロアに拡大。作品づくりに時間をかけるために、テーマ設定をはじめとしたディレクションを斉さんにお願いしたそうです。

「斉さんからは『図書館を庭に見立てること』をコンセプトとしていただいて、あとは僕の感覚で製作しました。時間を使うという図書館としての在り方に沿って、空間に落とし込めるように自分なりに考えました」と和田山さんは製作時の思いを振り返ります。

90点あまりの展示作品のうち9割は、展示会のために製作した新作。今回、作品には製作者やタイトルといったキャプションを付けていません。そこで見る人の考えが止まってしまうからだと和田山さんはいいます。

「来館した時にぱっと見て、『こういう空間があるんだな』と感じてほしい。感覚的にひっかかったらゆっくり見て、何か1つでも感じて持ち帰ってほしいですね」と見どころを話す和田山さん。「展示場所のうち、お気に入りの空間はどこ?」の質問には、「何回か来館しているのですが、毎回変わります。今は2階のエスカレーター下にあるアクリルに覆われた作品ですね」と笑います。

――ここからは、陶芸家としての思いを聞きました。陶芸家になったきっかけを教えてください。

 

和田山さん(以下、和田山)
アメリカ留学時にクオリティの高い日本の陶芸に魅せられ、大学の陶芸学科に編入しました。でも趣味ではやりたくなくて、陶芸を職業にしたかった。なんとかなるやろうと(笑)。趣味で始めていたら、たぶん今まで続きませんでした。趣味だと全ての工程を1人ではできません。やるなら自分で”0から100まで”と思いました。

 

――ご自身の作品の特徴は?

 

和田山

作品と日常使いのうつわでは、考え方やコンセプトは異なります。大きなところでは、矛盾というパラドックスの中で製作しているので、例えば作品が有機的な形であれば無機質な釉薬を使います。相反するものを1つの作品に入れることで表現として成立するという考えでずっとやっているので、そのあたりは、(作品と日常使いのうつわでは)考え方は変わりません。

 

――和田山さんの作品で人気の「青色」について。ファンの間で「和田山ブルー」と表現されているそうですが、鮮烈な青色は釉薬の流れの美しさ、うつわの底の部分に定着した釉溜まりが印象的です。

 

和田山

青色が好きというより、色を作る行為が好きなんです。“あらゆる色のテストをして、焼いて”の繰り返しですね。この青色は、昔、知り合いのレストランオーナーから青いうつわの製作依頼があり、研究して作ったのがきっかけです。青色が僕の作品の特徴になったのは、初めて注文を受け、それに応えようとした結果です。

 

でも最初は絶対に汚れない釉薬を作ろうと思ったんです。1カ月くらい醤油を入れていても色が変わらないような。でも売れませんでした(笑)。そもそも陶芸の面白さというのは、焼くという行為で“もの”が変わるということ。そこで計算し尽くされていない部分を作ろうと思い、今度はもっと極端にして、釉薬を動かすことで発色の変化を試みました。そうしてできたのが、今の僕に代表される青色が特徴のうつわです。でも実は白色が好きなのですが、うつわはまだ出せていません。

 

陶芸家 和田山真央

1985年大阪生まれ、2008年サウスダコタ州立大学卒業。アメリカ留学を機に陶芸に魅せられ、陶芸の本場、日本で追求することを決意。その後、数々の作品展にて賞を受賞。2019年に和歌山市加太へ移住。

和田山真央展「陶と本の庭」
会期 開催中~2022911日(日)

場所 和歌山市民図書館1階・2

料金 観覧無料

 

関連イベント

作品スケッチワークショップ

館内にある和田山さんの作品を巡りスケッチするイベント。絵が苦手な人でも大丈夫。図書館で楽しくアート体験を。

日時/202294日(日)午前11時~正午、午後1時~午後2時、午後230分~午後330
場所/和歌山市民図書館2階イベントスペース
定員/各回5人 ※小学3年生以下は保護者同伴
参加費/1000円 講師/美術家・斉さん

申し込み/2022821日(日)から参加券配布(図書館利用券要)

 


和歌山市民図書館
和歌山市屏風丁17

tel.073・4320010
開館時間/午前9時~午後9
定休日/無休