第52回 有田からの挑戦状 ~休日編

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Posted by matsumoto at 3:04 PM JST
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この前、当コラムにてお世話になった
有田市『清乃』さんに行って来た。

日曜の昼下がり、何故か恐る恐るトビラを開ける。
威勢の良い「いらっしゃいませ!」に、
若干キョどりながら(何でやねん)掘りごたつ席に着座。
カウンターにいるはずのご主人には、背中を向ける格好だ。
西部劇にもあるだろう。本来、荒野の決闘は背中合わせから始まる。
でもご主人が背中を向けているか、
自分の席からは、当然知る由もない。
だが後ろから撃つような卑怯なマネをする
ご主人ではないこともわかっているつもりだ。

店内を見回してみる。お目当てのお品書きがないではないか。
そりゃそうだ。基本、和食店だし、ましてや
お昼からラーメンなぞやってるわけがない。
定食オンリーか! あきらめたその瞬間、
背中に気配を察して振り返ると、
ご主人と目が合った。そしてひと言。

 「ラーメン、やってますよ」。
 
これがニュータイプ同士の邂逅というのは、
言い過ぎか。否、言い過ぎではあるまい。

ふた昔前のサッカー日本代表なら
あり得ぬくらいの心通わすアイコンタクトは、
コンマ数秒で互いの意思確認を済ませ、
かくして闘いの火ぶたは切って落とされたのだった。

初参戦のウチの相方は、鶏旨味そば金しょうゆ。

口当たりはあっさりだが、その名の通り、
和風寄りのダシの風味、背脂のコクと旨味にあふれて絶品だ。
細麺の絡みもばっちりで女性に好まれるタイプだ。

そして初めて見るメニューの「特製まぜそば」。

スープが全く見えないそばなんだが、ご覧の通り、
あふれんばかりのキャベツがダイナミックに盛られ、
さらにその頂上にはチャーシュー、ネギなどが
ブレーンバスターの垂直落下間際のごとく
絶妙なバランスでのっかっている。
ちなみにバックドロップは、
後藤達俊と長州力のそれが美しい弧を描いて大好きだ。

それはさておき、いざ実食。

序盤戦は黄味にはノータッチ。
まずはふもとから手をつける作戦に出る。

やや太い麺のコシも抜群で、それだけでもおいしい。
しかし本丸を攻めねば、この麺の味は計れまい。
えいや!とばかりに鉢の底からかき混ぜると、
濃厚なダシが顔を出す。まぜそばたる所以だ。

キャベツもネギも黄味もバトルロイヤル状態で、
まぜ返して、一気にずるずるずるりとすすり上げる。

うまーい!

濃い口のダシをキャベツのしゃっきり感と、
黄味のマイルドさがうまい感じに包み込み、
さらに麺との絡み具合も補う格好。

ハンバーグなどの黄味トッピングはあまり好まないのだが、
この麺にはちょうど良い塩梅のまろやかさになって、
なかなか好印象。食欲が落ちている時に食べてもいいかもしれぬ。
麺の量も150グラムとちょうど良いし、文句なし。

ん? ちょうど良い? おお、これが普通の量の麺かー。
前回が前回だっただけに…感動した!(C小泉さん)

すると、ご主人。
「あっ、麺、増量しておいた方がネタ的には
よかったかな? 今度からそうしとくわ!」

そんなんせんでええわい!
適量でおいしく食べさせてくれ!

とにもかくにも、負け(?)を認めたご主人が
そう答えた都合により、次回以降の対戦は風雲急を告げるのだが、
次の来店までに、双方この勝負を覚えているかどうかは
定かではないのであった。